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母と父が来年の6月に離婚をする。

正しくは、母が離婚を考えている、だ。

父のほうも現状家出をして行方知れずな母を心配しないところを見るに、離婚に動じたりはしないだろう。

 

母は借金は自分のパチンコ依存のせいだと言う。

確かに毎晩出かけていたし、車に乗ればパチンコの玉らしきものが足元に見つかることもあった。

だが、本当にそれだけで家の生活が苦しくなったのだろうか?

 

父は今でこそ定年退職をし、毎日家で寝転びながらテレビを見ている。

周りから見ればそこまで働いたのだから当然のことであろうし、偉いとも思うのだろう。

自分の気が向かなければ午前中に帰宅し、酷いときは8万しか給料が入らない生活を強いていたということを教えなければ。

 

母は離婚を考えていると言い、そのときに初めて言った。

酷いときは8万しか入らなかったこと。

そのわりに自分の小遣いとして5万をもっていくこと。

共働きであったが、自分の給料と合わせても生活が元々苦しかったこと。

パチンコにいっていたのは、勝てば少しだけでも生活が楽になったからだということ。

 

最後の話は正直・・・である。

だが、父は悪い意味で古風な人で、自分は働いているのだから家では何もしないのは当然だという態度をとる人だった。

働いている母は家の家事をも強いられ、料理を運び終えて座った途端になにかを取らされに何度も立つことさえあった。

 

家にいるのはストレスだったのだろう。

見たいテレビは父親が占領していて見られず、自分の部屋というものもない母にはパチンコしかなかったのかもしれない。

ストレス発散だったのかもしれない。

 

家にお金がないと知ったとき、父親は激怒した。

元々手が出る人で、前の奥さんのことは殴ったり日常茶飯事だったようだが、母に手を出すことはなかった。

その分、態度や言うことはクソみたいに最低で思いやりがないものなのだが。

 

そのときには離婚の話が出たのかはしらないが、母が家を出るようなことはなかった。

でも、そのときに家を出ていればよかったのかもしれない。

 

それから数年、母は精神も体もボロボロだ。

金を貸していた兄妹はその恩を忘れたかのように金を借りようとする母を罵る。

自分たちが借りたお金を返していないのに、ある意味感心してしまう。

その兄妹たちとの縁を切り、母は本当に孤独な人となってしまった。

 

借金を返すために休まず働くという母は、先週、家を出てしまった。

こまめにではないが連絡はとっている。

この寒い中で車で寝泊りしている。

父がいないときに着替えなどを取りにくるが、それでは体が持たないということは本人にもよくわかっていることだろうに。

 

でも家にいるのが苦痛だという。

父がいる空間に帰るということが苦痛だという。

 

家でごろごろしているだけの父は、自分でなにかをしようとしない。

料理も洗濯も、なにかしらの支払いもすべて母親にさせる。

最近は子供に冷たくされるのが悲しいようだが、自業自得にも思える。

 

 

話は変わり今日のこと。

家出していた母親が帰ってくる日のはずだった。

だが、母親はもう家に帰ってこないという。

 

父に話を聞けば、パチンコ屋で会い、私を迎えにいくと出て行ったらしい。

父は呆れていた。

パチンコで更に金がなくなる前に、通帳と印鑑を返して欲しいという。

それを、私に言えという。

 

正直、持っていた荷物を投げつけてやりたかった。

父のことは嫌いでもない。

母のことも嫌いでもない。

しかし、そのときはとてつもなく父に嫌悪を見た。

 

母が家出した時は、家に帰ってこいとはいっていたのだ。

それは、私が泣いてしまったからかもしれないが。

怒鳴らないか、殴らないか、喧嘩をしないか。

泣きながら聞く私に父はしないといった。

呆れているから、もうなにもいっても仕方がないといった。

 

しかし今日になってなにかを言うのだ。

自分が電話をしてももう出ないから、通帳と印鑑を返せと言え。

別に家に帰ってこなくていいから、それだけは返せ、と。

 

母は本当に、もう帰ってこないかもしれない。

それがとても悲しい。

 

来年、父は家を売るという。

売って借金を返済するといっていたが、母はそれを断った。

両方頑固だ。

似たもの同士だからぶつかるのかもしれないと、今になって思う。

 

父が家を売ったとき、それが離婚のときだという。

母にはどちらについていくか決めなさいといわれた。

父はなにもいわない。

いつもなにもいわないのに、いざというときは母のせいなのだ。

 

私は母も父も好きだ。

しかし今日のさっきの出来事で父親に対する苛立ちを感じ始めている。

 

寝るときだけでも帰ってきてほしい。

父となんて顔を合わせなくていいのだ。

こんな寒いなかで車で寝泊りなんてしないでほしい。

 

どうしたらいいのだろう。